B:荒野の墓荒らし ガトリングス
「ガトリングス」は、「聖アダマ・ランダマ教会」の園墓に棲み着いていた、凶暴なヘッジモールだ。
ヤツがねぐらにしていたのが、著名な彫金師であり、錬金術師だった「ガトリング氏」の墓だったため、そう呼ばれている。
~手配書より
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ショートショートエオルゼア冒険譚
錬金術師ガトリングは焦っていた。
もともと特殊な薬品をを扱う錬金術師には短命が多い。それを知りながら孤独な身である事をいい訳にしてお構いなしに無節操な暮らしを続けてきたのだ。天涯孤独でこの世を去るつもりだった。それがほんの出来心で親に捨てられ弱っていた魔獣の幼生を拾ってしまった。回復したら野に返すつもりだったのに、情に絆され我が子のように育ててしまった。
ここへ来てガトリングの体調は急激に悪くなっていた。肺を患った自分はもう永くない。自分が居なくなってもこの子が自分の力で生きられるように、そう考え錬金術で強化した食事を施した。そして著名な錬金術師ガトリングは力をつけた魔獣を野に放ち、一人静かにその生涯を閉じた。
魔獣は施された錬金術の力か、同種の魔獣のどの個体より大きく強くなり、街道を通る交易の商隊まで襲うようになり人からも恐れられるようになった。
だが、魔獣の心には満たされない何かがあった。
ガトリングだ。父に会いたかった。
抑えがたい衝動に駆られ魔獣は育てられた家を見つけ出したが、そこにガトリングはいなかった。懐かしいガトリングの匂いを追い、辿りついたのはアダマ・ランダマ教会の墓地だった。
「死」というものを知らない魔獣はまたあの優しいガトリングとに会える、今は隠れているがまたいつか一緒に暮らせる、そう信じて主の匂いの残るその墓の脇に巣穴を作り住み着いた。いつしかその魔獣は墓主の名をとりガトリングスと呼ばれるようになった。